ラボ通信#17:胚盤胞の形態的評価について

2017.02.20

 皆さま、こんにちは

今回のラボ通信では、『胚盤胞の形態的評価』についてお話させていただきます。

初期胚は培養1日目から3日目の受精卵をいいますが、培養4日目には『桑実胚(そうじつはい)』、そして培養5日目から7日目には『胚盤胞(はいばんほう)』になります。

 

当院で用いている胚盤胞の評価方法はGardner(ガードナー)の分類です。胚盤胞の発生の程度や細胞数で評価していきます。

 

その1:胚盤胞の育ち具合

胚盤胞は『胞胚腔(ほうはいくう)』と呼ばれる腔の広がり具合で1~6段階に評価します。

1:初期胚盤胞(early blastocyst):胞胚腔が全体の1/2以下

2:胚盤胞(blastocyst):胞胚腔が全体の1/2以上

1と2は胚盤胞に成り立ての状態です。細胞数もこれからどんどん増えるので、正直グレードはあってないようなものですそのため、移植や凍結保存には次の3~5の胚盤胞を優先しています。

3:完全胚盤胞(full blastocyst):胞胚腔が全体に広がった状態

胚盤胞らしくみえてくる段階です。

4:拡張胚盤胞(expanded blastocyst):胞胚腔が拡大し、透明帯が薄くなる

受精卵の殻(透明帯)が薄くなり、中身がパンパンになって、はじけそうな状態です。孵化の一歩手前です。

5:孵化中胚盤胞(hatching blastocyst):胚盤胞が透明帯から脱出し始めている

受精卵の殻(透明帯)から中身が出ている状態です。これを孵化といいます。人間の卵も孵化するんですよ

6:孵化後胚盤胞(hatched blastocyst):胚盤胞が完全に透明帯から脱出した状態

殻から完全に出た後、つまり孵化後の状態です。孵化してしまった後は扱いが難しくなるので、そうなる前に移植や凍結保存を行います。子宮の中で孵化した受精卵は、子宮内膜に潜り込み(着床)、妊娠が成立します。

その2:将来“胎児”になる細胞の数

内部細胞塊(ないぶさいぼうかい:inner cell mass, ICM)と呼ばれる部分です。細胞の数が多いほど“A”、そこそこあると“B”、ちょっと少ないな…というのが“C”です。

その3:将来“胎盤”になる細胞の数

栄養外胚葉(えいようがいはいよう:trophectoderm, TE)と呼ばれる部分です。こちらも、細胞の数が多いほど“A”、そこそこあると“B”、ちょっと少ないな…というのが“C”です。

上の写真では、胚盤胞の右下の丸い塊が将来胎児になる部分、その周りを包んでいる細胞が将来胎盤になる部分です。

どちらかに“A”がついていれば良好な胚盤胞です。例えば、“4BA”というグレードは、孵化する直前の細胞数が多い良好胚盤胞という意味です。逆に“3CC”など“C”がついている胚盤胞はグレードが悪いため、凍結保存できない場合もあります。

以上が、胚盤胞の形態的評価についてのお話でした

ご意見・ご質問があれば、いつでも胚培養士にお声かけください