ラボ通信#16:初期胚の形態的評価について

2017.02.20

 みなさま、こんにちは

今回のラボ通信では『初期胚の形態的評価』についてお話させていただきます。

受精卵は細胞分裂を繰り返して細胞の数を増やしていきます。これを『分割』といい、分割の仕方によって受精卵を評価することができます。『初期胚』とは培養1日目から3日目までの受精卵のことで、『分割期胚』や『早期胚』とも呼ばれます。

当院で用いている初期胚の評価方法は『Veeck(ヴィーク)分類』です。分割速度(割球の個数)やフラグメント(細胞のつぶつぶ)の量によって評価していきます。

観察は培養器の外、顕微鏡下で行いますが、あまり時間をかけてしまうと受精卵が悪くなってしまいます。そのため、胚培養士は以下の評価を瞬時に行わなくてはなりません

その1:分割速度

採卵日を培養0日目と考えます。培養1日目は受精確認の日になり、翌日から分割の程度を観察します。

●培養2日目:4細胞が目安(2~6細胞の幅があります)

4G1(4細胞期胚グレード1)

●培養3日目:8細胞が目安(6~10細胞の幅があります)

8G2(8細胞期胚グレード2)

その2:グレード付け

分割の仕方をグレード1~5に評価します。

グレード1と2が『良好胚』と呼ばれ、妊娠率が高くなります。

●グレード1…割球(細胞)の大きさが揃っていて、ぷりんとハリがある。フラグメントがない。

8G1(8細胞期胚グレード1)

●グレード2…割球の大きさが揃っていて、フラグメントが少しある。

4G2(4細胞期胚グレード2)

●グレード3…割球の大きさが揃っているまたは不揃い。フラグメントがやや多い。

3G3(3細胞期胚グレード3)

●グレード4…割球の大きさが揃っているまたは不揃い。フラグメントが多い。

6G4(6細胞期胚グレード4)

●グレード5…割球がわかりにくい。フラグメントがかなり多い。

G5(グレード5)

 フラグメントとは何でしょう

 細胞が断片化したもので、細胞分裂の際に生じます。もともとは同じ細胞なので吸収されて無くなる場合もあるようです。フラグメントが多いと、受精卵の発育の妨げ(=胚盤胞になりにくい)になりやすく、グレード4やグレード5では妊娠率が低くなります。

例えるなら・・・ロールケーキ1本を切り分けるとき、上手く切れないと断面がボロボロ崩れてきませんか そのボロボロっとしたところがフラグメントだと思って頂ければ理解しやすいと思います。

 グレードが悪いと染色体異常なの

 見た目では『染色体異常かどうか』はわかりません。また、初期胚の段階では父性遺伝子のスイッチがまだ入っていないため卵子の質の問題といえます。身体の冷え、喫煙(受動喫煙も)、睡眠不足、ストレス、肥満、飲酒など日頃の生活習慣が影響してきます。そのため、グレードには個人差があり、年齢が若くてもグレードが良くなかったり、40歳以上でもグレード1の受精卵ばかりの方もいらっしゃいます。

以上が『初期胚の形態的評価』についてのお話でした

当院では、移植の直前に受精卵の状態を胚培養士からご説明させて頂いております。移植や凍結保存に向いている受精卵、そうでない受精卵について詳しくお話しています

ご質問がございましたら、いつでも胚培養士にお声かけください