ラボ

禁欲期間についてのご案内

2017.02.20

 みなさま、こんにちは

ゴールデンウィークは、良いお天気に恵まれましたね。

太陽をいっぱい浴びて、お疲れも出ている頃かも・・ですね。

今日からのお仕事、頑張ってください。

私達も、リフレッシュして新たなエネルギーもみなぎってきました。

患者様に還元出来るように頑張りたいと思います。

さて今回は、

是非ご注意頂きたい『禁欲期間』についてご案内させて頂きます。詳しい内容は『ラボ通信#6:精子形成について』をご覧ください。

最近検査を行っていると、「20日」や「30日」などの期間を目にすることが多くなってきました

精子は精巣で毎日つくられており、精巣上体と呼ばれる部分で溜まっています。そのため、禁欲期間を長くとってしまうと精子数は増えるかもしれませんが、精子の質は確実に悪くなっています

 

精子の質が悪くなると、流産率が増える傾向があるというデータが当院の研究で明らかになっています。

新鮮な精子を蓄えるという意味でも、なるべく定期的に射出した方が精子の質は改善されます。特に人工授精・体外受精(顕微授精)のときは、「禁欲期間を2~7日」に合わせてください。

「20日」や「30日」なら、「0日」や「1日」の方がマシだと思います。

何かわからないことがあれば、いつでも胚培養士・臨床検査技師にお尋ねください

質問①39歳の妊娠率

2017.02.20

 みなさま、こんにちは

今回は、患者様からの『体外受精(顕微授精)での妊娠率』についての質問にお答えしたいと思います

「35~39歳と40歳以上の妊娠率に大きな差がありますが、39歳は40歳以上の数値に近いと思ってよいのでしょうか?」との質問を頂きました。

当院では下のグラフのように、女性年齢を5段階(29歳以下、30-34歳、35-39歳、40-42歳、43歳以上)に分けて妊娠率を出しています。このグラフは2011年の採卵あたりの妊娠率を表しており、1回の採卵で得られた受精卵を使い切るまでに妊娠できる確率を示しています。*当院HPより

質問にあった“35-39歳”の妊娠率は30.0%、“40-42歳”の妊娠率は12.8%です。40歳を過ぎてから妊娠率が下がります。では、40歳に近い“39歳”の妊娠率はどうなっているのでしょうか

下のグラフは2010-2011年の新鮮胚・凍結胚移植による妊娠率です。38歳から1歳ごとの妊娠率をグラフにしました。このデータでは、“39歳”の妊娠率は30.9%“40歳”の妊娠率は15.9%です。妊娠率は半分に下がってしまいます。

つまり 最初の質問の答えは39歳は35-39歳の数値に近いです。

40歳を過ぎると妊娠率は確かに下がりますが、それでも15%もあります。44歳以上ではさらに妊娠率が下がり、なかなか妊娠に結びつきません。治療について迷っておられる方、将来的に2人目、3人目と考えておられる方は、ご自身の年齢も踏まえて、治療のステップアップについて考えてみてはいかがでしょう?

当院では毎月1回、土曜日に『ステップアップセミナー』を開催しております。タイミング療法から人工授精、人工授精から体外受精へのステップアップの時期について悩んでおられる方は、是非ご参加ください

精子検体持込みの際の注意点

2017.02.20

みなさま、こんにちは 検査室からご案内申し上げます。

男性不妊検査や人工授精などの精子調整のために、ご自宅で採取された精子検体カップを当院にお持込みされる際、ご留意頂きたいことがあります。

暖かくなってきたと思ったら、急に寒さが戻ったりするこの頃ですが、特に寒い日には持込みされた精子検体カップがとても冷たくなっていることがあります。そんな精子を顕微鏡下で観察すると、ほとんどの場合、前回の検査値と比較して運動率が低下しています。

精子は外気温の影響を強く受けます。暑さ寒さにとても弱いです

できるだけ体温に近い温度を保つために、採取後の精子検体カップはタオルなどで包み、外気に触れないようにカバンの中に入れるなどして、速やかにクリニックにお持込ください。

 ただし、カイロ等で保温はしないでください。逆効果です。

当院では採精室もご利用いただけます。ご本人に受診歴がある場合はインターネット予約も可能です。ただし、インターネット予約の場合は、後日確認のために当院よりご連絡させて頂く場合がございます。ご了承ください。

検査室・培養室では、患者さまからのご質問にお応えすることために質問用紙を当院待合室に設けております。どうぞ、ご利用ください。

ラボ通信#17:胚盤胞の形態的評価について

2017.02.20

 皆さま、こんにちは

今回のラボ通信では、『胚盤胞の形態的評価』についてお話させていただきます。

初期胚は培養1日目から3日目の受精卵をいいますが、培養4日目には『桑実胚(そうじつはい)』、そして培養5日目から7日目には『胚盤胞(はいばんほう)』になります。

 

当院で用いている胚盤胞の評価方法はGardner(ガードナー)の分類です。胚盤胞の発生の程度や細胞数で評価していきます。

 

その1:胚盤胞の育ち具合

胚盤胞は『胞胚腔(ほうはいくう)』と呼ばれる腔の広がり具合で1~6段階に評価します。

1:初期胚盤胞(early blastocyst):胞胚腔が全体の1/2以下

2:胚盤胞(blastocyst):胞胚腔が全体の1/2以上

1と2は胚盤胞に成り立ての状態です。細胞数もこれからどんどん増えるので、正直グレードはあってないようなものですそのため、移植や凍結保存には次の3~5の胚盤胞を優先しています。

3:完全胚盤胞(full blastocyst):胞胚腔が全体に広がった状態

胚盤胞らしくみえてくる段階です。

4:拡張胚盤胞(expanded blastocyst):胞胚腔が拡大し、透明帯が薄くなる

受精卵の殻(透明帯)が薄くなり、中身がパンパンになって、はじけそうな状態です。孵化の一歩手前です。

5:孵化中胚盤胞(hatching blastocyst):胚盤胞が透明帯から脱出し始めている

受精卵の殻(透明帯)から中身が出ている状態です。これを孵化といいます。人間の卵も孵化するんですよ

6:孵化後胚盤胞(hatched blastocyst):胚盤胞が完全に透明帯から脱出した状態

殻から完全に出た後、つまり孵化後の状態です。孵化してしまった後は扱いが難しくなるので、そうなる前に移植や凍結保存を行います。子宮の中で孵化した受精卵は、子宮内膜に潜り込み(着床)、妊娠が成立します。

その2:将来“胎児”になる細胞の数

内部細胞塊(ないぶさいぼうかい:inner cell mass, ICM)と呼ばれる部分です。細胞の数が多いほど“A”、そこそこあると“B”、ちょっと少ないな…というのが“C”です。

その3:将来“胎盤”になる細胞の数

栄養外胚葉(えいようがいはいよう:trophectoderm, TE)と呼ばれる部分です。こちらも、細胞の数が多いほど“A”、そこそこあると“B”、ちょっと少ないな…というのが“C”です。

上の写真では、胚盤胞の右下の丸い塊が将来胎児になる部分、その周りを包んでいる細胞が将来胎盤になる部分です。

どちらかに“A”がついていれば良好な胚盤胞です。例えば、“4BA”というグレードは、孵化する直前の細胞数が多い良好胚盤胞という意味です。逆に“3CC”など“C”がついている胚盤胞はグレードが悪いため、凍結保存できない場合もあります。

以上が、胚盤胞の形態的評価についてのお話でした

ご意見・ご質問があれば、いつでも胚培養士にお声かけください

培養環境の管理~クオリティーコントロールについて~

2017.02.20

 皆さまこんにちは

今回は培養室の管理についてお話しさせていただきます

患者様からお預かりした受精卵は、再び移植する時まで培養室で大切にお育てしています

受精卵を体外で育てる場合、培養環境の維持がポイントとなってきます

わずかな環境の変化でも、受精卵にとってはストレスになってしまいますので、培養に最適な環境が毎日保たれているかしっかり管理をさせていただいております

培養室の温度・湿度のチェック

夏場・冬場でも培養室の温度・湿度は一定に保たれています。

培養液を保管する冷蔵庫のチェック

温度の変動は培養液の品質に影響があるため、毎日一定に保たれているかチェックを行います。

培養器内の温度・ガス濃度のチェック

受精卵を育てる場所です。培養器内は体内(子宮内)の環境に近くなるよう、温度やガス濃度を調整してあります。受精卵の居心地のいい環境は、私達が生活しているような環境とはガスの濃度が全く違うのです。毎日のチェックはもちろん、温度やガス濃度に異常があれば培養器からアラームが鳴るなど、最も厳重に管理されています。

ボンベ室のチェック

培養器のガスはボンベ室から送られています。ガスの残量には十分注意を払います。

ご夫婦からお預かりした大切な受精卵ですので、いつでも万全の体制で培養できるよう管理しております

ご質問や気になることがあれば胚培養士・臨床検査技師までお気軽にどうぞ

ラボ通信#16:初期胚の形態的評価について

2017.02.20

 みなさま、こんにちは

今回のラボ通信では『初期胚の形態的評価』についてお話させていただきます。

受精卵は細胞分裂を繰り返して細胞の数を増やしていきます。これを『分割』といい、分割の仕方によって受精卵を評価することができます。『初期胚』とは培養1日目から3日目までの受精卵のことで、『分割期胚』や『早期胚』とも呼ばれます。

当院で用いている初期胚の評価方法は『Veeck(ヴィーク)分類』です。分割速度(割球の個数)やフラグメント(細胞のつぶつぶ)の量によって評価していきます。

観察は培養器の外、顕微鏡下で行いますが、あまり時間をかけてしまうと受精卵が悪くなってしまいます。そのため、胚培養士は以下の評価を瞬時に行わなくてはなりません

その1:分割速度

採卵日を培養0日目と考えます。培養1日目は受精確認の日になり、翌日から分割の程度を観察します。

●培養2日目:4細胞が目安(2~6細胞の幅があります)

4G1(4細胞期胚グレード1)

●培養3日目:8細胞が目安(6~10細胞の幅があります)

8G2(8細胞期胚グレード2)

その2:グレード付け

分割の仕方をグレード1~5に評価します。

グレード1と2が『良好胚』と呼ばれ、妊娠率が高くなります。

●グレード1…割球(細胞)の大きさが揃っていて、ぷりんとハリがある。フラグメントがない。

8G1(8細胞期胚グレード1)

●グレード2…割球の大きさが揃っていて、フラグメントが少しある。

4G2(4細胞期胚グレード2)

●グレード3…割球の大きさが揃っているまたは不揃い。フラグメントがやや多い。

3G3(3細胞期胚グレード3)

●グレード4…割球の大きさが揃っているまたは不揃い。フラグメントが多い。

6G4(6細胞期胚グレード4)

●グレード5…割球がわかりにくい。フラグメントがかなり多い。

G5(グレード5)

 フラグメントとは何でしょう

 細胞が断片化したもので、細胞分裂の際に生じます。もともとは同じ細胞なので吸収されて無くなる場合もあるようです。フラグメントが多いと、受精卵の発育の妨げ(=胚盤胞になりにくい)になりやすく、グレード4やグレード5では妊娠率が低くなります。

例えるなら・・・ロールケーキ1本を切り分けるとき、上手く切れないと断面がボロボロ崩れてきませんか そのボロボロっとしたところがフラグメントだと思って頂ければ理解しやすいと思います。

 グレードが悪いと染色体異常なの

 見た目では『染色体異常かどうか』はわかりません。また、初期胚の段階では父性遺伝子のスイッチがまだ入っていないため卵子の質の問題といえます。身体の冷え、喫煙(受動喫煙も)、睡眠不足、ストレス、肥満、飲酒など日頃の生活習慣が影響してきます。そのため、グレードには個人差があり、年齢が若くてもグレードが良くなかったり、40歳以上でもグレード1の受精卵ばかりの方もいらっしゃいます。

以上が『初期胚の形態的評価』についてのお話でした

当院では、移植の直前に受精卵の状態を胚培養士からご説明させて頂いております。移植や凍結保存に向いている受精卵、そうでない受精卵について詳しくお話しています

ご質問がございましたら、いつでも胚培養士にお声かけください